ATLの検査について
- ATL(成人T細胞白血病)は、HTLV-Ⅰ
(human T-cell leukemia virus type I)というウイルスが原因で起こる病気です。
- お母さんがこのウイルスを持っていると、授乳等によって赤ちゃんに感染する可能性があります。
- 妊婦さんがウイルスをもっているかどうか調べるためには血液検査が必要です。
- このウイルスはエイズとはまったく関係ありません。
- 詳しいことは主治医(産婦人科)や保健センターの保健師にお尋ねください。
Q&A
Q1:ATLとはどういう病気?
A1:ATLは成人T細胞白血病(aduit T-cell le leukemia)略称でHTLV-Ⅰというウイルスが原因で
発症する病気です。他に神経症状をおこすHAMという病気をひきおこすこともあります。
Q2:キャリアとはどういうことですか?
A2:ウイルスが体の中に入っても発病する人はほんの一部です。ウイルスを持っているが発病しない人を
『キャリア』と呼んでいます。血液検査(抗体検査)が陽性で、確認試験でも陽性の場合、『キャリア』
と診断。お母さんがHTL-Ⅰキャリアの場合、授乳等によって赤ちゃんに感染する可能性があります。
Q3:HTL-Ⅰキャリアからの発病率?
A3:感染からおおむね40年以上(平均55年)を過ぎたHTL-Ⅰキャリアから年間およそ1,000人に
1人の割合で発病するといわれています。タバコを吸っている人が肺がんになる確率と同じ確率です。
Q4:HTL-Ⅰはどのようにして感染するの?
A4:HTLV-Ⅰの感染経路は主にウイルスを持った母から子への母子感染です。他には輸血、性行為によ
る感染(多くは男性から女性への感染)があることが知られています。
Q5:母から子への感染はどのようにしておこるの?
A5:HTL-Ⅰの母子感染のほとんどが母乳による感染です。この他に、胎児が体内にいる時の感染(経胎盤
感染)、出産時の感染(経産道感染)等が考えられていますが、現在のところはっきり分かっていません。
Q6:母乳による児への感染を防ぐためにはどのような方法がありますか?
A6:経母乳感染を防止するには、人工栄養(ミルク)とする方法が最も確実ですが、次善の策として、3ヵ月
まで短期間の授乳もしくは、凍結母乳を与える方法もあります。
【参考】1.人工栄養(ミルク)児の感染の確率は、これまでの調査で3%といわれています。
2.4カ月以上母乳を飲ませた場合、児に感染する確率は、もっとも新しいデータで15~25%と高くなっています。
3.凍結母乳:母乳を搾乳した後、母乳パックに入れ、家庭用冷凍庫に入れ、一旦凍結させます。その後、37度く
らいのぬるま湯で温め、哺乳瓶で母乳を赤ちゃんに与える方法をいいます。症例数は少ないですが、感染率を
3%程度まで減らすことができると報告されています。
Q7:HTLV-Ⅰはどうして母乳から感染するのですか?
A7:授乳によって母乳中の感染リンパ球が長期間に渡り赤ちゃんの体内に入ると感染するといわれています。
母乳を凍結させるとこの感染リンパが死に感染力が無くなってしまうといわれています。
Q8:赤ちゃんに感染したかどうかはどうやってわかりますか?
A8:3歳を過ぎてから抗体検査をすればわかるといわれていますが、県内にこの抗体検査ができる医療機関は
限られています。詳しくは八代市保健センター又は八代市鏡保健センターへお尋ねください。